船戸明里:Under The Rose1(幻冬舎コミックス) 冬の物語

 正統派と言っていいヴィクトリアンストーリー。かなりこの時代の屋敷に住む人々や風俗などをリアルに描いている。最近読んだ本で参考資料に挙がっていて気になっていて、電子書籍で売っているのを見て買って読んでみた。…うん、普通に面白い。
 実父?であるロウランド伯爵に引き取られた少年ライナスは母の死因を調べていくうちに屋敷のさまざまな人間模様を知っていく。侍女がその死因のひとつであることが解るが…。ライナスはアーサー・ロウランドの息子であるかどうは不明。(そうでない可能性が極めて高い)…だが、アーサーはそれでもライナスを引き取り幸せになってほしいと願う。多分自分が愛したグレースの息子だから、と私は思う。
 このロウランド家の屋敷全体が一つの閉じられた世界だと感じられる。そんな世界で生きる人々は果たして幸せだったのだろうか? ロウランド家は他の家に比べて使用人と主人の関係が身近らしい。当時は使用人は主人側ともっと距離を置くのが普通であったと思う。アルバートがやたら女癖が悪くて使用人に手をつけてるけどこれが普通だったのかどうかわからない。
 ヴィクトリア朝の時代って非人間的なところあるなーと思うが、現代社会に生きる我々が人のことを言えるかどうかわからない。企業なんてサービス残業とかあるしねえ。
 真実は、読者の解釈に任されているのかもしれない。「人の心はわからない」ってコピーですし。

 それにしてもライナスくんかわゆす。かわいすぎてしょうがないよ。「筆でもおろしてもらったか?」と言ってるときの表情がいいなあ。メイドもけっこう綺麗に描かれてますが…。
 

 いわゆる「メイドさん萌え萌え」〜的なそんな媚びたような作品ではない。

 ついでに電子書籍のメリットについて書いておく。

・家で買ってすぐに読める
・場所を取らない
・安い(こともある)

デメリットは

・リーダーが壊れたらどうしようもない
・対面販売とかそういうふれあいが無くなる
・目は疲れる


一長一短か?

私が買ったVoyagerってサイトはストリーミング式で数分で再ログインしなくちゃならんとかID記憶しないとか使い勝手は最悪だったけどね…。ダウンロード版は無いのかね。