ジェフリー・アーチャー:遥かなる未踏峰(下)(新調文庫)

登山隊に選ばれたマロリーはいよいよチベットに入国し、エヴェレスト(チョモランマ)に登って行くが…。その前にインド行ったりして一回帰ってくるけど、それは略す。
チベット国境に入る際の駆け引きがユーモアあって良い。当時大英帝国の力でも、こればかりはどうしようも無かったのだろうか? 山のことはわかりません。
 そうそう、この小説では「そこに山があるから」の発言がマロリーがアメリカへ行ったときにハーバードの学生の質問に答えたという形になっている。でも発言してない説もあるんだけどね。
 結局死ぬんだけどね。


彼は巡礼となるべき権利を得るだろう


ここの一節でちょっと泣けた。

 作者の名前はジェフリーであり、これはカンタベリー物語を書いたジェフリー・チョーサーと名前が同じである。時代が違えこそ、彼等が稀代のストーリーテラーという点では共通するところがあると思う。

 余談だが、この作品はアニメ「ストライクウィッチーズ」と意外なところでつながりがある。主人公の弟、後の空軍大将トラフォード・マロリーは(多分)トレヴァー・マロリーのモデルである。トラフォードの誕生日パーティで主人公がトラフォードと談笑するシーンもある。これを見るとあんな意地悪おっさんになるとはとても思えない。

「何だって? 恐れを知らない空軍のエース、ドイツ空軍を痛い目にあわせたあと、帰国してイギリス空軍最年少の飛行中隊長になった、彼の勇敢な弟については何の記述もないのか?」


このときの台詞からして、くだけてそうな感じがする。

この後に続く会話はトラフォードがアルプスで事故死することを示唆していると思われる。