ジェフリー・アーチャー:遥かなる未踏峰(上)(新調文庫)

アーチャーのサイクルの中では、これは伝記調に当たる。どこまでが事実でどこまでがフィクションかわからないけれど。
 本書はエヴェレスト登山に挑戦して死亡したリー・マロリーを題材にした伝記的小説である。マロリーのプレパラトリースクールやパブリックスクールでの様子など大変読んでいて楽しかった。(リットン・ストレイチーなどと交友があったとかすごい)登山についての描写は興味ないのでちょっと読んでてつらかったけど…。
 妻(ルース)とのちょっとしたロマンスもあり。
 しかし、最初の「ルースの写真はないな」で歓声を上げたというのはどういう意味なのかいまだにちょっとよくわかってない。
 ヒンクスのスノビスムぷりは見てて嫌になる。
 この本から読み取れることは、やはりオックスフォードに行くのは教育費がかかり親が牧師程度の中産階級には大変な負担であったことと、牧師が地方のちょっとした名士であったことだろう。また、やはり登山は趣味。だから、仕事とどう折り合いをつけるかという問題があった。結局それは周囲の支援でどうにかなるのだが。
 彼が悪童どもに教育してるシーンは見ていて微笑ましい。
 下巻に続く。まぁどうせ生還できないってわかってるんだけど…。