塩野七生:十字軍物語2(新潮社)

今日は妙に涼しい。
そろそろ夏も終わりか…と感じさせる。
塩ば…じゃなくて塩野七生が語る、十字軍のおはなし。
やはり印税稼がないといかんのかねぇ。
 
 さて、第一次十字軍では有能な人材が輩出され、おまけにイスラム側の分裂に助けられて、イェルサレムを落とした十字軍でしたが。第二世代になると、十字軍側は人材が貧弱になり、逆にイスラムに人材が輩出して、十字軍側が押され気味になります。名前を挙げれば、ヌール・アッディーン、(あまりにも有名な)サラディンなど。サラディンは小柄なほうで、インテリタイプの青年だったとのことでちょっと意外でした。十字軍側では…らい王ボードワンぐらいしか思いつかない! この人が頑張るさまにはあまりにも萌えた。顔が崩れて仮面をつけて身動きが取れなくなっても戦場で指揮を取るさまは壮烈である。500の兵だけでサラディンに勝てたのがすごい。美男なだけが取り柄の男と結婚したがる姉に手を焼かされるという点にも同情する。姉の夫が後の無能王ギイである。テンプル騎士団ヨハネ騎士団が「現代で言えば特殊部隊」という説明はけっこうしっくりくる。まあ、テンプル騎士団は金融にも手を付けてたけど…。T・E・ロレンス(アラビアのロレンス)の名前が出てくるのも嬉しいところ。元々は城塞の研究をしていたらしい。また、東方に住み着いたフランク人が現地にかなり溶け込んでいたことにかなり驚いた。海運力もまた東方の4国にとっては重要であったとし、イタリアの4つの都市国家ヴェネツィアジェノヴァなど)がどのように十字軍に関係していたかにも触れている。
 あと、うーん、「これは私の推測なのだが〜」ってところ、はっきりいって余計なんだよね。俺、わかりやすく解説されたドキュメント読みたいだけなんで、何の根拠も無いこと書かれても困ります。
 余談。個人的にはこういう本を出す出版社は株買って応援したいけど、新潮社って、上場してたっけな?