伊藤計劃 第弐位相(早川書房編集部編)

なんだか立ち読みしてみて映画のブログ部分が面白いので買ってしまった。
が、別にこの本買わなくてもブログは読めるんだよね…。収録されてる漫画は別に面白く無い。小説はなんだかコナミのゲームのSSの域を出ない。その手のジャンルの海外作家と比べると可哀想だろう。地名でベゼスダとかいう名前が出てきて驚き。(ベゼスダソフトワークスという名前のあのオブリビオンを開発した会社が存在する)
 映画のレビューは「この人は本当に映画が好きなんだな」と思えてとても良かったと思う。ただ、エロゲやライトノベルは守備範囲外らしい。
 今はもう、この人はガンで急逝してしまい今はいない。ブログは残されていて黙祷してるコメントなんかを見かける。なぜこういう才能ある人が死んで俺みたいなつまらない人間が生き延びてるんだろう、といつも思う。ブログを読むと闘病生活を送りながら日常を過ごしているのがわかる。やはり抗がん剤が一番つらそうであった。吐き気出るし。私も身内にガンになった者がいるからそういう苦しみは当然あるだろうと想像がつく。自分で投与されたわけじゃないから気持ちがわかるとまでは言えないけどね。若いうちにかかると進行が早いからあっさり死ぬのよね…。
 この人篠房六郎と知り合いらしくて篠房が「今のオタクは…」とかこぼすところをしっかりと書いていた。別に、階層が広がっただけで、今でも濃い人は濃いんじゃないかなとか、思いますけどね。2006.10.29「学園祭の話」にその話が出てくる。個人的にはオタを世代で捉えることに拘泥しすぎると何かを見失う気がするのだが。

 いまの子達はアニメとエロゲと漫画しか見ない。
 (319ページから)

いやいやいやいや、それは言い過ぎだろう。色んな趣味持ってる人がいるハズ。
 しかし、篠房六郎が本当に嘆きたかったのは、薄いとかいうよりも、今どきのオタが「オタ的な知のデータベースの構築をしなくなったこと」ではなかったか。共有知の崩壊、である。いや、もともとそんなもんは幻想だったと言われればそれまでですけど。