小口幸伸:通貨戦国時代−円高が続く本当の理由(朝日新書)

 熱い本だった。
 通貨の戦い…これは一種の経済戦争だ。
 読んでいて非常に面白く、あっという間に読んでしまった。
 発見がたくさんあった。
 円が回避通貨として使われているのと同じように、スイスフランも回避通貨として使われていること。(いや、金融の世界だと当たり前のことなんだろうけどね?)ユーロが生まれる前はマルクが強く、FRBが手を焼かされたこと等々。今でも、ドイツのブンデスバンクには発言力がある。
 通貨政策(介入など)を兵器にたとえるのも、面白い。胸熱だね。その点で言うと、日本の介入はあまり効果の無い兵器のようだ…。さらに協調しないと各国から叩あかれるし…。米国の量的緩和政策(QE)というのもある。これのせいでドルはなかなか上がらない…。先進国に比べると新興国の兵器は弱いらしい。
 ユーロを一つのクラスにたとえるのもなかなか面白い。ドイツはフランスは優等生で、ギリシャアイルランドの劣等生が落第しないように勉強を教えなくちゃいけないのが、今の状況なわけだ。
 昔はドルが基軸通貨なわけだったけど、今はその賞味期限も迫っているのかもしれない。ユーロは基軸になる可能性があったが、その可能性がギリシャの債務問題で遠のいたのはご周知の通り。
 どの通貨が勝者になるのかは、まだわからない。