宮崎市定:雍正帝 中国の独裁君主

 昔、この本を高校のころ、区の図書館で借りて読んだ。そのときは全集の形だった。(何であの巻だけあったんだろう?)この人を「大唐帝国」で知って以来ファンだった私は迷わずこの「雍正帝」を借りて読みふけった。
 そして今また読みたくなってamazonで注文して文庫版を買った。随分軽くて読みやすい。やはりまずこの皇帝の第一の魅力は裏のルートでの官僚の報告書を読んで書き込んでまた送り返したりして統治に努力したことだろう。こんな皇帝は中国史上この人しかいない。そのレポートのおかげで雍正帝のキャラクターが透けて見えるのも面白いところ。こんな厳しい皇帝が上司では官僚もたまったもんじゃないが、やりがいを感じる人もいたのかもしれない。雍正帝自身に入れ込みすぎず、独裁政治の欠点もしっかりとあげているのもこの作者のすごいところだと思う。