ケン・フォレット:針の眼

 ノルマンディー上陸作戦のための偽装を見抜いた主人公のドイツスパイが本国にそれを通報しようとするが…というお話。史実ではもちろんドイツ側はカレーと思い込んでノルマンディーに上陸されたんでロクな手を打てなかった。フォーサイスの「ジャッカルの日」みたいに、結果はわかってるんだけど、その過程を楽しむという感じ。いろいろと細かて雰囲気が出てるし、そのくせ読みやすくて面白いとは思った。少なくとも今まで読んできた薄さは感じなかった。が、織り込まれたロマンスがうざい感じ。主人公のスティレットと殺した後必ず吐くのがフォレットなりのキャラ立てなのかな。
 最初、下宿屋のおかみが、彼を誘惑するために偶然彼の部屋を訪れて殺されるあたりがこの作品のつかみであると同時にこの小説がどんな感じで進行するのかを示しているのであろう。
 ちなみに、史実じゃグデーリアンロンメルの参謀なんてしてないぞ。かなり否定的に書いてるのでちょっといやだった。全部リアリティで固められてるかと思えばそうでもないのね。